特急ICEを使っても電車でほぼ半日かかる。
ご用達ガイドブックLonely Planet Germany(3rd edition)にも掲載されていないくらいだから、English speakersにもあまり知られていないかもしれない。
その町の名はザルツヴェーデル。
時計の針は7時を過ぎようとしているけれど、まだ夜も明けきらないうちに家を出る。寒いけれど旅行の前で浮きだっているのか、我慢できる程度の気温。ハウプトバーンホフで熱いカフェラテだけを手に入れて乗り込むと、7時27分発Hannover行きICE672は5番プラットフォームから滑るように発車。
ハノーファーには11時17分到着予定。
それまでは夢の中へ。
10時過ぎ。目を覚ますとシュトゥットガルトではまだ暗かった空が、うす曇で明るくなっている。
定刻どおりハノーファーに到着。
次の乗るUelzen(ウェルツェン)行きの電車までは40分弱あるので、駅前へ出てみると、目抜き通りの先に、どこかでクリスマスマーケットの一部としてみたことがありそうな胡桃割り人形がクルクルと周る塔が見える。
駅にはたくさんのクリスマスツリーで飾られ、駅前広場にはクリスマスマーケット風の屋台が並ぶ。
ICEで4時間も北へ行けばちょっと変わった食べ物でもないかと物色するも、目新しいもの見つからず。駅の売店で野菜たっぷりラップを買って、ウェルツェン行きの電車に乗り込む。
車中からハノーファーの高い建物を遠くに見てから、すっかり葉の落ちた林や未だに菜の花が咲いている畑を見ながら約40分程電車で揺られて到着したのは、”Hundertwasser-Bahnhof”(水の都の駅とでも訳すのか)ドイツらしからぬ曲線が活きてるタイル張りの駅。駅の構内もお手洗いもポップで明るい。
ウェルツェンの街の中心には建物の窓を利用したアドヴェントカレンダーがあるとのことで見てみたかったけれど、駅からは少し距離があって断念。
最後の乗換え。
ここから今度はローカル線で更に40分。13時58分。目的地のザルツヴェーデルにやっと到着!
と、ホテルの住所を控えてくるのを忘れたのを思い出し。
大体の位置まで行って近くの商店で尋ねると、ビンゴ!直ぐそこのカタリーネンキァヒェの角と教えてくれた。
今日のお宿は木骨造りで改装されたHotel Katharinenhoefchen(カタリネンホッフヒェン)。
当日はクリスマスマーケットでフロントは空であることを事前に電話をもらっていたものの、到着してベルを鳴らしても誰も出ず。しばらくすると左側からおじさんがやってきて、フロントの代わりに鍵を預かっていると部屋の番号を教えてもらい鍵を受取る。無事、今晩の寝床を確保。
そろそろ、この町へ来た理由を明かしましょう。
それは。。。
Baumkuchen!
デス。ドイツと言えば?との質問に10本の指には入るであろうバウムクーヒェン。発祥の地は旧東ドイツにあったこのザルツヴェーデル。
可愛らしい木骨造りの家が並ぶものの、石畳がきちんと整備されていないため歩道が歩きにくい。
Salzwedeler Baumkuchen(ザルツヴェーデラー バウムクーヒェン)の営業時間は通常、月-金は9.00-17.00、土は10.00-13.00ということでしたが、事前に問い合わせたら今日は18.00までやっているとのこと(クリスマスだから?)。工場見学も一人なら予約は必要ないということだったので、街の中心部にもある分店ではなく、街外れの作業所のある本店へ向かう。
バウムクーヒェンの門扉の前を通り、商店街を抜けて、Kaiserturm(カイザートゥアム)という茶色い塔を過ぎ、ラウンダバウトを渡って人家が立ち並ぶ道を20分程。行き交う人もほとんど居らず、こんなところに店があるのか?と不安になって歩き続けるとぱっと目に付く黄色い壁が遠くに見えると、それが世界で最初のバウムクーヒェン屋さん。
1807年にJohann Schernikowさんが始めてバウムクーヒェンを焼いてから200年目にやって来ました!お店には一組の家族連れがいるだけで、カウンターにはおねぇさん一人。店内にはバウムクーヒェンしかありません。
作業工程のDVDも販売中。
バウムクーヒェンを焼く工場見学が出来るというので聞いてみたら、こちらは13時までなのだそうで。「明日はもういないんです」と言ったら、一度奥へ聞きに行ってくれて、見せてくれました!(でも、出来るだけ時間内に行きましょう。)
バター、卵、砂糖、小麦粉の生地とメレンゲを火に掛ける直前に同じ容器に入れてサックリ混ぜて、大きなスプーンでオーブンの下受け皿へ移して、既にある生地と混ぜあわせます。はじめに芯になるような筋がある型へ生地を掛けて、火力を強くしたり弱めたりして20分もすれば長い木のようなケーキの出来上がりです!
写真は木型、容器の中の生地、そして焼いているところ。
焼きあがったら型にはまった状態で1日放置。その後砂糖やチョコレートのコーティング。
賞味期限は10日。お店のお姉さんに念を押されました。
お店のカウンターで試食も。軽くてふわっとして、これぞ頬が落ちると言うもの!販売単位は一段分の1Ringからあり、数段にして飾り付けしたものや、扇方に小さく切ってチョコレート掛けしてもの、すっかりトルテ状になったものやタワー型まで種々取り揃え。コーティングには、砂糖掛け、ホワイトチョコ、ミルクチョコとビターチョコ。海外からでも通販も購入できるようです。
たくさん買ったので1.50ユーロの布製袋に入れてくれました。
そして中身は、バウムクーヒェンタワー!(笑)
街への戻りは違う道で。
この貯水塔(Wasserturm)は1908年に建築。高さ43,7mでネオゴシック調。1981年までザルツヴェーデルに水を供給。
ちょっと変わった建物だったので1枚。
Hermann Freydanckさんが1904年に建てたビール醸造所。その後、邸宅となったり託児所になったりした後、改装して1996年から街の図書館に。
残念だったのは、Lorenzkirche(ロレンツキァヒェ)を見れなかったこと。Romanik der Strasse(ロマネスク街道)沿いに位置し、バジリカの流れを汲み、13世紀半ばに建てられたロマネスク調の教会。到着した時にはとっぷりと日が暮れていて、周りに明かりがないので写真にも撮れず。肉眼でうっすらと丸い高窓が見えるだけ。冬季開放日は平日14〜15時の1時間のみ。
村のクリスマスマーケットは教会から聞こえてくる合唱と焚き木で。
♪明日はGoslar(ゴスラー)へ向かいます。(石丸 謙二郎風)
ポチッとな。Frohe Weihnacht!


おまけ。
月曜日に会社で1リングのバウムクーヒェンを分けました。
ザルツヴェーデルはシュトゥットガルトから遥か北の方でもあり、旧東ドイツでもあったこともあるでしょうが、誰も名前すらも知りませんでした。
バウムクーヒェンに関する日本語Website。
バームクーヘンの町(”ベルリン日和”から)
オリジナルバウムクーヘン(”♪Arte Gagliano♪”から)
Salzwedeler Baumkuchen GmbH(”バウムクーヘン三昧”から)
【関連する記事】
素敵な記事ですね!
ぜひこちらからも紹介させてくださいませ(^^)
バウムクーヘン三昧の片割れ、おちゃちです。
バウムクーヒェンタワー!素敵です!(^o^)
ドイツのバウムクーヘンも、世界のバウムクーヘンの
カテゴリでいくつか紹介しているのですが、ドイツ語が
さっぱりわかりません。(T-T)
これからも、バウムクーヘンレポ楽しみにしております!!
リンク貼っていただいてありがとうございました。
切り分けて冷凍しておき、食べる前に解凍すれば、10日以上経ってもOKだそうで、私は今年もここのバウムクーヘンを大量に(!)注文してしまいした。冷凍庫はバウムクーヘンだらけです。笑
でもまだ一度もここを訪ねたことはないので、是非私もいつか行ってみたいです。
工場見学もされたのですね。いや〜、何とも羨ましいです。
バウムクーヒェンも極めるには大変な道のりですよね!また、お邪魔します。
>おちゃちさん
ドイツ語。。。私にも鬼門です。今後もバウムクーヒェン情報をお届けできるか自信はありませんが、がんばりマス!
>♪Mumukau♪さん
またまた参考にさせて頂きました。というかですね、♪Mumukau♪さんの記事を読んでから、バウムクーヒェンってドイツやん!とクリスマス前に訪れると心に硬く誓っていたんです!こちらこそどうも有難うございました。
冷凍庫保存できるんですね!バウムクーヒェンだらけの冷蔵庫。。。見たい!(笑)
>hirschquelleさん
あまり探してないというのもあるのでしょうが、シュトゥットガルトでバウムクーヒェンを見たことがないんです。会社の人たち(がっつりシュベービッシュな人たち)はバウムクーヒェンという名前すら知らないんです。それは木?とか聞かれて。たぶん知られていないモノは売れないんでしょうね。
冬のドイツには行ったことないし、寒くて行くのはどうも・・って思っていたけど、クリスマスの時期にはなかなかいいですね〜。
実は主人が突然クリスマスをドイツで過ごそうと言い出し、今思案中なんです。ちなみに
シュトゥットガルト出身なので、のだめさんのブログにはよくお邪魔させていただいています。
街の様子がよくわかってとても有難いです。素敵な街なので是非行きたいのですが、なにしろ真夏のケアンズから真冬のドイツ…寒そう・・。
こんにちは。
11月頭に雪も降ったし、今年は寒いのかなぁと思っていたけれど、12月に入ったらそんなに寒くなって、ちょっと拍子抜けデス。
ケアンズからドイツはかなりの温度差ですね。。。それは二の足を踏むのがわかります。寒い!と思っても直ぐに夏へは戻れませんもんね。(笑)